【UNDERTALE考察_Sans編その2】審判におけるSansの役割

Sansにとっての審判

 Sansの審判はUNDERTALEの世界でも特徴的で、なおかつ謎の多いイベントです。
 Asgoreの王座へ向かう「さいごのかいろう」で、プレイヤーはSansと相対し、地下世界のモンスターたちの殺害によって得てきたEXPを元に、Sansによる行いへの評価(と、Playerがあまりにも殺しすぎてきた場合は制裁)を受ける事になります。

 本人の発言から、Sansがこの審判を行う理由はGエンドラストシーンの世界の破壊を防ぐものであると告げられますが、Gルートに至るにはほんの少し足りない程度の大量虐殺を行っていたとしても、Sansはプレイヤーを積極的には攻撃してこようとせず、弟を殺した場合も、罵りさえすれどあくまで不殺を貫きます。
 いせきエリアで誰も殺さないように抜けた場合にFloweyが言うように、「もし目の前に冷酷な殺人鬼が現れたらどうしようもなく、されるがままになるだけ」という言を体現しているかのようです。

 Sansがニンゲンを可能な限り殺さないことについては、単純に扉の向こうの夫人との約束があった為にニンゲンに手を出せなかった、という意見を多く見ますが、例え仲の良くなった夫人との約束とはいえ、弟が殺されても約束を守り続ける事は並大抵の意志では難しいでしょうし、Sansには何かそれ以外の目的が存在していて、その目的の為にGルート以外ではニンゲンを殺すことが出来なかった、それこそがSansの「審判」という役割であり、極めて優先順位の高いものであったのではないかと感じさせます。

審判で行われていることについて

 彼との戦闘中に語られる通り、Gルートの最後には世界そのものが崩壊する事が示唆されます。その原因は、他者を殺害する事によって得てきたEXPが一定の基準以上に達した存在が、複数のニンゲンのソウルと接触する事です。(尚、セーブデータの改造によってSans戦を回避しても世界を破壊できる事から、LOVE20は必要条件ではないのでしょう)
 それを防ぐための手段として、審判の間を通過する存在のEXPを測定し、場合によっては始末する…という役割をSansが引き受けている訳です。

審判は誰のためのものなのか?

 作中ではplayerの操作するニンゲンをSansは審判しましたが、いつ来るかもわからないニンゲンの為だけにこのシステムが用意されているというのにはやや疑問が残ります。
 というのは、そもそも対ニンゲンにはロイヤルガードという王家直属の兵士たちがいるために、ニンゲンが勝ち残って審判の間までやってくる事は想定されていないのが自然であると推測できるからです。審判を受ける受けない以前に、地底の国にとってはニンゲンは殺すべき存在なので、そんなニンゲンの為だけに審判という役割を地底の国が用意しておくというのはやや考えにくい事です。

 しかしながら、審判を地底の国の住民が罪(殺人)を犯した際に機能するものであるかと考えると、それにも不自然な点が残ります。Sansは地底の国の住民を皆殺しにできる程度にEXPをため込んだ存在以外は素通ししているためです。モンスターには平和主義者が多いとはいえ、殺人どころか大量殺戮を行わない限り制裁を受けないシステムに意味はあるのでしょうか?おそらく審判は、地底の国が公に行っている事ではなく、Sans(と、もしかしたら一部関係者も)が個人の独断で行っているものであるのでしょう。

 審判が作中のニンゲンだけに用意されているものでも、一般的な地底の国の住民の為に用意されているのでもないなら、審判でEXPを測定する役割はいったい誰の為に用意されたものなのでしょうか?
 候補としては、地底にはPlayerが操作するニンゲン以外にも、他人を殺害することでEXPを溜めていて、なおかつ複数のニンゲンのソウルと接触出来る存在がいます。

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 それはとあるボスことAsgore Dreemurrです。
 彼は地底に落ちてきたニンゲンを殺害し、ソウルを集めている存在です。もしかしたら過去の戦争にも参加していたかもしれない事がOPで示唆されています。 外敵の存在しない地底では、Asgoreは唯一EXPを測定する理由がある存在です。
 ゲーム中では国を挙げて「ニンゲンのソウルを揃えた上で、Asgoreがそれらを取り込み神となってバリアを破壊する」という計画を行っていましたが、アズリエルがニンゲンのソウルを一つ取り込んだ際は、たった一つしか取り込んでいないソウルの影響を強く受けて行動不能となってしまい、ソウルレスとなったFloweyも、Nルートエンドでソウルに反逆され、力が制御できなくなるという結末を迎えていました。それを踏まえると、Asgoreが7つソウルを揃えた所でそのソウルを制御しきれるのかを考えると、可能性が低いのではないかと考えられます。
 物凄く荒唐無稽な説である自覚はありますが、Sansが本来審判の間で裁くはずだった存在は、PlayerがAsgore戦でゲームオーバーになった後のAsgoreなのではないでしょうか。
 そう考えるといくつか解決できる謎があります。道中でのニンゲンの殺戮を看過し、審判を抜けた場合にも私怨で手を出さない理由は、自分がもしもニンゲンに返り討ちにされた上で、Asgoreがニンゲンとの戦闘で勝利を収めた場合、Asgoreを止める存在が居なくなってしまうためです。実際にplayerの操作するニンゲンはSAVE&LOADの能力により、何度もやり直しができる存在であるとSansが知っている為、ニンゲンに手出しすることが危険であることは理解していたのでしょう。 また、審判を行う回廊は、王の待つ部屋と王国を繋ぐ境界にあります。それが、世界の脅威であるニンゲンから王を守るためではなく、王から地底世界の住民を守るためであるなら、審判を行う場所があの場でなくてはならない理由の一つになります。

おわりに

 Sans周りは本当に分からないことが多く、国内国外問わず彼についての考察は多いだろうなと思っていたのですが、探し方が悪いのかあまり考察ページを見つけられなかったので、このあたりの考察について詳しくしているページがあればぜひ教えてください(この考察は大分トンデモな自覚があります…:D) (追記 リンクページに詳細まで考察されていた方の記事を追加しました!)